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新型コロナウイルス感染症について②

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床経過が私達臨床医にとって怖かったのは、これまでのウイルス性呼吸器感染症とは異なり、発症から重症化・死亡までの経過が早いということでした。COVID-19登場以前も、「風邪をこじらせて」肺炎になる方はいましたが、これほど早い経過で死に至るまで重症化することはあまり経験していませんでした。重症化する方は肺炎球菌などの細菌性肺炎を合併することが多かったのですが、このCOVID-19は、そのような細菌性肺炎の合併がなくとも、発症早期から肺炎の所見がみられ、一旦感染すると、早い経過で重症化する懸念がありました。一見健康そうに見える方でも死亡する方が次々に報告されたため、重症化し死亡する方をできるだけ少なくする、という考えに基づいて、国は躍起になって感染拡大を防ごうとしてきました。そのために執られた措置が「緊急事態宣言」や「蔓延防止重点措置」でしたが、振り返ってみてみると、それがどれほどの効果があったのかは甚だ疑問であると言わざるを得ません。

私がCOVID-19の流行が始まった頃から一貫して考えていたことは、「感染拡大抑制はある程度になったら不可能と考え、重症化しそうな方の診療に重点を置く方が良い」ということでした。そのためには、私達臨床医は、できるだけ医療機関との関係性が切れないようにしていくことが重要と考えていました。つまり、感染している患者さんが見つかった場合、経過を十分に観察し、重症化しそうな方が早めに入院できるようにする、というのが私達臨床医の考えでした。

ところが、COVID-19が「新興感染症」であるが故に、感染の拡大を防ぐ「防疫」の対象となり、「感染拡大を防ぐ」ことに重点が置かれるようになってしまったため、人口が多い都市部を中心に、患者さんが放置されてしまうといった、本末転倒の事態が起こっていました。私達の周囲では幸いそのような事態になったとは聞いていませんが、他の地域では実際に起こっていたことでした。これは私達臨床医にとってはとても悲しい事態でした。

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